文系・工学系の学際・融合教育を目指して

教員

日高 薫 助教 (国際関係論)

研究テーマとの出会い・その魅⼒

日高 薫 助教 (国際関係論)

国際関係論、とくに安全保障分野における理論研究を専⾨としています。元々学部では法律を学んでいましたが、たまたま履修した外交論の授業が⾯⽩かったので、そこから徐々に国際政治に惹かれるようになっていきました。その後、⼤学院進学を機に国際関係論に転向しようと思い、研究テーマを決めるために⾊々な⽂献を漁るなかで、対⼈地雷やクラスター弾といった「⾮⼈道的兵器」の軍縮条約に興味を持ちました。軍事的には有⽤な兵器にもかかわらず、厳格な禁⽌条約が成⽴しているのは⼀体なぜか。⼀般的には NGO・中⼩国の活躍や⼈道規範の影響として理解されていた事象ですが、「果たしてそれだけでないのでは?」と疑問を持った私は、⼤学院で兵器保有国の政軍関係に着⽬した新たな理論構築に取り組みました。

現在は伝統的な安全保障分野だけでなく、クーデタや⾰命といった体制変動論、アメリカの政治外交論などに射程を広げて研究していますが、いずれも別の研究を進めるなかで偶然出会ったパズル・アイデアが基盤となっています。その意味で、何か個⼈的な問題意識や原体験に突き動かされてきたというよりも、興味の向くまま、⾃分の知的好奇⼼をくすぐるテーマに取り組んできたように思います。

理論研究の⾯⽩さは、何といっても理論を「作る」ところにあります。単に既存の美しい理論を「学ぶ」のではなく、他の誰かが考えてくれた理論を「使う」のでもなく、⾃分⾃⾝で、⼀般的・匿名的・抽象的・論理的な思考を深め、オリジナルの仮説を構築し、複雑怪奇な国際関係(の⼀端)を解き明かす。その知的興奮にやりがいを感じます。


学生へのメッセージ

学⽣時代は選択肢も多く、過ごし⽅や進路に⾊々と迷うのではないでしょうか。私はというと、研究者を志すまでにコロコロと進路を変え、国家公務員を⽬指したり⺠間就職をしたり無職を経験したりと、それなりに迷⾛してきました。

研究もそうですが、仮に正着があるとして、はじめからそれに辿り着くことは殆どありません。と同時に、取り返しのつかない失敗というのも実は殆どなくて、⼤抵のことは意外とどうにかなるものです。ぜひ、たくさん試⾏錯誤をして、まわり道の景⾊も楽しみつつ、充実した学⽣⽣活を送ってください。