文系・工学系の学際・融合教育を目指して

教員

中野 優子 准教授(開発経済学)

研究テーマとの出会い、その魅力

中野優子 准教授(開発経済学)

高校生のときから、何となくアフリカの開発に関わる仕事をしたいと思っていたのですが、学部の時は具体的に何を勉強していいのか分からず、漠然と過ごしていました。大学4年生のときに速水佑次郎先生の「開発経済学」という本と出会って、「これが勉強したい!」ということで、開発経済学を勉強できる修士課程に進学したのがこの分野と出会ったきっかけです。

私は開発経済学の中でも、アフリカ農家を対象としたミクロ実証の研究をしています。具体的には1回の調査で数百家計の農家にインタビューをして、統計データを構築し、「アフリカの農家はなぜ新しいコメの品種や肥料を使わないのか?」や、「新しい稲作技術は本当に農家の所得向上の役に立つのか?」といった疑問にデータ分析を通じて答えるのが仕事です。魅力は、何と言ってもアフリカの農家の方々と直接対話をできることです。アフリカの農家は本当に色々なところ(作物生産、家畜、非農業)から所得を得て生活をしています。途上国では統計データが未整備なこともあって、そういう人たちが実際にどのくらい稼いで、どういう生活をしているのか、彼らの生活が10年、20年といったスパンでどのように変化しているかは、実際に行って話を聞いて、データを集めてみないとなかなか分からない問題です。フィールドでの農家の方との対話や、データ分析から、アフリカ農家の現状を理解し、そこから得られた農業生産性、所得向上のための方策を途上国政府、援助関係者、研究者や農家の方々と共有できることにやりがいを感じています。


学生へのメッセージ

大学時代は、自由に使える時間がたくさんある貴重な時期だと思います。バイトして海外に行くのも、サークル活動に精を出すのも、思いっきり真面目に勉強してみるのもよし、社会に出たらなかなかできないことをたくさんしてもらいたいと思います。その中で、「これなら続けられるかも、何年かやってみてもいいかも」と思えることを見つけて、皆さんが社会に巣立たれるのを応援できればと思っています。特に途上国の問題に関心のある人には、ぜひ(くれぐれも安全と健康には気を付けて)一度その国に行って、人々の生活を感じてみることをお勧めします。

学問的には、一見無機質な統計の中から人々の生活を読み解くこと、統計分析を通じてどう論理的な議論を構築するかを大切にしながら、自分がこれまでどきどきしてきた開発経済学、ミクロ経済学の魅力をお伝えできればと思っています。