文系・工学系の学際・融合教育を目指して
教員
文系・工学系の学際・融合教育を目指して
教員
言語人類学、社会言語学という学問を通して、ことばと文化の相関関係や異文化コミュニケーションについて研究しています。日本人はなぜ頻繁に「すみません」というのだろう?アメリカ人はなぜジョークが上手いように聞こえるのだろう?といった疑問について、実際に会話データを取って分析し、ことばの用いられ方に現れる文化的な手触りの仕組みについて明らかにしてきました。
高校時代はイルカの調教師という職業に憧れていました。また、マザーテレサの影響で、国連勤務がしたいという夢も持ちました。しかし、どちらも中途半端なまま、大学の卒論で手がけたアメリカの教育テレビ番組「セサミストリート」の分析をきっかけに、社会が言語の多様性を認めると同時に、言語を統一しようとする二つの流れに興味をもち、研究の道に足を踏み入れました。
この社会はすべてコミュニケーションで成り立っていることを考えると、言語というのは、政治、経済、通貨と同様に価値の体系としての動的な様態をもつものです。同時に、詩歌や文学を生み出す創造性の源です。研究の醍醐味は、他者への偏見やステレオタイプなども含めて、差異の構造を説明し、ミクロ、マクロのレベルで異文化を説明する面白さにあると思います。最近は、日本と米国女性の出産育児体験の語りの比較から、両者の描く家族、社会観の違いを浮き彫りにしました。今後は異文化間コミュニケーションにおける「空気の読み方」の違いを分析していく予定です。
筑波大学は広くてキャンパスも魅力的ですが、是非つくばを出て、自分の足でさまざまな土地を歩いてまわってください。子供の頃はとても臆病者の私でしたが、大学院時代の友人たちに感化され、時に好奇心に突き動かされて、世界の多くの場所を旅したことが今の私の世界の見方の礎となっています。またコミュニケーション力や語学力を磨くためにも、いろいろな人と語り合い、考え続けてください。そして必ずこの地球をよりよい場所にしていくのだという強い自覚のもと、人生を逞しく切り開いていっていただきたいと思います。