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“迷わず行けよ 行けばわかるさ”

国際総合学類4年次 神長広樹

国際総合学類4年次 神長広樹

―――いい映画というのは2度楽しめる。1度目は何も考えず受動的に、2度目は1度目に抱いた疑問を解こうと積極的に。―――

皆様、初めまして。2016年夏現在4年次の神長広樹と申します。冒頭のセリフは2015年夏にエストニア、タリン大学のサマースクール、短編映画製作に参加した際、担当の先生がおっしゃられた言葉です。もちろん映画、ないし映像制作すら関わったことがなく、ただ単に「映画が好き」と「人と違う経験がしたい」を地図とコンパスに、その当時はまったく未知の分野に飛び込みました。振り返ると懐かしいですが、当時は本当に吐き気と戦う日々でした。周りの参加生徒が何を言っているのかさっぱりわからない、褒めてくれているらしいが褒め返せない、楽しげな輪の中に自ら入れない、あれよと脚本が通り監督に成れたはいいけどクルーと意思疎通できない現場監督、周りの期待といら立ちに重圧を感じる毎日。それでも、それが楽しかった。

音だけでは理解できないから話している人の目、ボディランゲージ、声色、スピード、すべてに注意を払った。授業終わりに「ちょっといい?」と聞き取れなかった点、伝え損ねた点を頑張って直接、あるいはメールで伝えた。「何突っ立っているの?こっちへ来て隣に座ったら?」と声を掛けてくれるエマ・ワトソン似の才色兼備の生徒がいた。「私の英語も下手だから。気持ちわかるわ。」と夜遅くまで付き添ってくれる超英語のできるカメラウーマンがチームにいた。「初めてお前の脚本を聞いたとき、わけがわからなかった。だから、絶対に映像化したいって思った。見たこと、聞いたことのないものを生み出す。これがおれの原点だ。」と職業:俳優のクルーもいた。

まだ短いけど人生で一番楽しかった!わくわくドキドキが止まらなかった。確かに運もよかった。周りの人に恵まれた。でも、ここだけの話、ある程度は自分で運を呼び込んだ。

「一番わけのわからない脚本を書いてやる」と意気込み、書いた。それがよかった。「面白そうだな!」って。実はチームの枠を超えて、コースの枠を超えて、スクールの枠を超えて、非常に多くの方が協力してくれた。

だから、僕は、大学生活で最も重要なのは勇気だと思っている。新しいことにチャレンジする勇気も必要だけど、それ以上に、自分を信じ人と違うことをする勇気。

最初から人と違うことをすることは難しい。君の前に多くの人がいるように、君の後ろにも多くの方がいた。先人が築いたものはやっぱりでかい。でも、恐れることもない。

まずは、今までの自分が選ばなかった選択肢を選ぶことから始めるといいよ。たまにはこの道で帰ってみるか、程度でいい。「初めて」の経験が真の勇気を育む、と僕は信じている。

そして、幸か不幸か、国際総合学類って"そういう道"を通った人が集まるし、"そういう道"を辿り、開拓し、成長していく場所です。幸は、君は独りじゃなく仲間がいるってこと。不幸は、その中で日常的に人と違うことをすることは大変だということ。楽しいよ。

それに、僕が知っている世界も、そういうところだった。

受け身の学校生活は高校と一緒にご卒業。「どうして?」と周りや慣例を疑おう。そうした疑問が君だけの宝の地図。なろうぜ、明日の、未来のエグゼクティブ。