文系・工学系の学際・融合教育を目指して

教員

外⼭ ⽂⼦ 准教授 (⽐較政治学、東南アジア地域研究)

研究テーマとの出会い・その魅⼒

外⼭ ⽂⼦ 准教授 (⽐較政治学、東南アジア地域研究)

中学⽣の頃から漠然と国際政治に関⼼を持つようになり、学校の⾃習時間も同級⽣たちが問題集を説いている隣で、ポール・ケネディの『⼤国の興亡』を読みふけるような学⽣でした。⼤学のゼミでは安全保障論、特に核抑⽌論や欧州統合などについて学びました。ゼミでの勉強は楽しかったのですが、当時アジア諸国の経済成⻑が注⽬を集めるようになっていたこともあり、次第にアジア政治について研究したいと考えるようになりました。

⼤学院博⼠前期課程(修⼠課程)から現在に⾄るまで、主に東南アジアのタイ王国の政治について研究をしています。博⼠号取得後のポスドク期間中には、約 1 年間、⽶国のコーネル⼤学東南アジアプログラムで、その後 3 年間はタイのタムマサート⼤学政治学部で在外研究を⾏いました。タイを研究対象に選んだ理由はシンプルで「なぜタイでは幾度も軍事クーデタが起きるのだろう」という素朴な疑問でした。順調に経済成⻑を続けてきたタイが、政治については⼀向に⺠主化しない理由を明らかにしたいと考えるようになりました。博⼠後期課程からポスドク時代には、1990 年代以降のタイ憲法の変化や特徴に焦点をあてて研究を⾏いました。具体的には憲法起草資料や関連資料を読み、起草に関係した法学者、政治学者や司法関係者にインタビューを⾏いました。またタイでは多数のセミナーに参加して、研究者たちの議論に⽿を傾けました。関係者の⽣の声を聞くことは、⽂書資料からだけでは分からない背景事情を知ることもでき、⾮常にエキサイティングな経験でした。

博⼠論⽂の内容は 2020 年に書籍(⽇本語版)として刊⾏されました。現在は英語版の仕上げをするとともに、学類で専⾨科⽬「アジアの国際関係」を担当させて頂いたご縁で、タイの国内政治に留まらず、アジア地域の国際関係についても研究するようになりました。


学生へのメッセージ

⼤学時代は将来の進路について悩む機会が多いと思います。優秀な先輩や同級⽣を⾒て落ち込んだりすることもあると思います。また経済的な理由などから、⼤学時代に留学が叶わない⼈もいると思います。家庭の事情から望んだ進路を選べない⼈もいると思います。しかし、⼈⽣は⼀本道ではありません。現在の能⼒や最初の職場で⼈⽣が決まるわけではありません。前向きな姿勢、継続的な努⼒、そして周囲への感謝を忘れなければ、後から道が開けることもあります。私⾃⾝、博⼠前期課程を修了後、博⼠後期課程への進学までに数年間、公務員をしていた時期があります。公務員時代に学んだことも多く、充実した時間でもありました。

焦らず、腐らず、しかし怠慢になることなく、⾃分のペースで前進していってください。