文系・工学系の学際・融合教育を目指して

学類について

学類長あいさつ

文系・工学系の学際・融合教育を目指して

今日豊かな文化や優れた科学技術を享受できるようになった背景には、各学問分野が細分化され、それぞれ深く専門的に探求されてきた成果であります。しかしながら一方では、細分化されすぎて思考の立脚点が常にミクロレベルに留まったまま、規模だけ地球大に拡大したため、世界的な資源環境の諸問題の一因にもなっていると考えられます。したがってこれからは、ミクロ、マクロの視点を統合し、地球全体の視点、有限の資源、循環すべき環境を前提として、エネルギー、食糧問題などに対処して、未来に持続可能な進化・発展を目指していかなければなりません。このために、国際総合学類では、学際化、融合化教育をめざし、これまで蓄積された人類の叡智を、地球的視点で再構成して、新しい発想で諸問題に取り組むことができる文工融合型専門家の育成を目指しています。

社会・国際学群 国際総合学類
学類長 柏木 健一


国際総合学類生に望むこと

国際総合学類生は、伝統的に優れた特質を有しています。それは、同学年の間でも、先輩・後輩の間でも非常に仲が良く、協力一致して物事に対処することです。明るく、積極的で行動力があり、発想が豊かな面を持っている点があります。当学類生のこの良き特質を、今後も引き継いでいって欲しいと願っています。

世界では、様々な紛争が現在も絶えませんが、これを平和裡に無くしていくためには、世界を一つの心にすることが必要です。そのために、肌の色や言語の違いを超え、地球全体を宇宙から眺めるような視点で、この星が我が家という意識を持って心を合わせ、地球全体の永続的発展のために行動する国際人に成長して欲しいと願っています。


国際舞台で活躍できる人材の育成

国際総合学類では、国際舞台で活躍できる人材の育成を目指しています。現在は、政治、経済、文化、情報、環境等、あらゆる人間の営みが地球規模で相互に影響を及ぼし合っています。このため、ますます複雑化している国際的な諸問題に対して、問題の本質を発見する鋭い洞察力、緻密な分析能力、迅速な情報処理能力を身に付け、先見性と独自性に富む問題解決策を提示できる能力を備えることが必要となります。そこでは、地球規模のマクロ的視点から生活レベルのミクロ的な立場までの様々な空間尺度軸からの視点、事象の原因結果の因果律から見た時間軸からの視点、文化背景や民族意識などの社会的な視点等、複数の視点からの探究態度が要求されます。これらの要求に応えるために国際総合学類では、2つの主専攻、国際関係学主専攻と国際開発学主専攻を設置し、かつそれらの間の垣根を低くして、相互に密接に関連させ、補完し合いながら指導を深める体制をとっています。国際性・学際性が高いといわれる筑波大学の中でも、国際総合学類は特にこの特長が際立っています。


国際総合学類の教育課程の特徴

国際社会の複雑な諸問題を的確に把握し、取り組む基礎力を養うために、社会・人文科学の各分野、情報・環境の各分野の基礎知識を学際的、学融合的に教育します。学年が上がるに従い、これらの幅広い分野の基礎の上に、諸問題に対する洞察力や解決策の構築に寄与できる能力をつけるために、さらに専門的な分析手法や応用理論を講義、ゼミ、演習等で体系的、実践的に学びます。同時に、国際的な時代に必要な、英語を中心としたコミュニケーション能力の向上と、情報処理技術の修得にも力を注いでおり、学類独自のカリキュラム群を提供して、基本的な技能を学びます。

3年次から個別ゼミに所属し、専門分野の研究指導を開始し、教育に研究の要素が加わります。知識を統合させて熟考する習慣をつけ、論理的思考力、表現力を向上させる訓練を行います。この成果を独立論文に纏めることができます。そして4年次では、現実の問題にテーマを設定し、培ってきた学際的な知識や手法で問題解決の提案を行うことで、分野の専門的な研究方法論を身につけるように指導し、卒業論文に結晶させます。この間に、交換留学や語学研修へと海外に学ぶ学生もかなりの割合でいます。このように学生の主体的な問題意識によってカリキュラムを柔軟に組めるような体制を提供しています。