文系・工学系の学際・融合教育を目指して

教員

黒川 義教 准教授(国際経済学)

研究テーマとの出会い、その魅力

黒川義教准教授

私の主な研究分野は、国際貿易論、産業組織論、経済成長・発展論、及びマクロ経済学です。現在は特に、国際貿易と賃金格差に関する理論的・定量的分析に焦点を当てています。

大学で国際経済学のゼミに入った時から国際貿易への興味は強かったのですが、留学したミネソタ大学博士課程の2年目に履修した国際貿易の授業でグループプレゼンテーションを行った際に、国際貿易と賃金格差のテーマで発表したことが、国際貿易と賃金格差という研究テーマに出会った直接のきっかけです。

標準的な国際貿易理論では、二国が貿易をすると、熟練・非熟練労働者の賃金格差は熟練労働者が豊富なアメリカでは拡大するが、非熟練労働者が豊富なメキシコでは縮小することが示されます。しかし、現実のデータでは、アメリカ・メキシコの両国で1980年代後半から賃金格差が拡大したことが示されます。よって、多くの経済学者が貿易に基づいた賃金格差拡大の説明を批判してきました。

そこで、私は博士論文で、この貿易と賃金格差のパズル(“trade-wage inequality anomaly”)に対して、一つの単純な解決を与えました。つまり、二国間の貿易が両国での賃金格差の上昇を引き起こす要因の一つとなり得ることを単純な理論で描写しました。

私の現在の主な研究目標は、その貿易が実際に観察された賃金格差上昇の何パーセントを説明できるのかという定量的な分析に取り組み、得られた結果を英文で出版することです。そして、更なる応用・展開をしていきたいと思っています。


学生へのメッセージ

私自身いつも自分に言い聞かせていることなのですが、常にいま何がプライオリティなのかを見失わないように気をつけて欲しいと思います。自分にとって最低限やるべきことさえできていれば、他は完璧でなくても良いのだと。

また、もし可能ならば、短期でも海外留学することを勧めています。「日本(出身国)から来た誰々さん」というだけの裸の自分になれて本当に楽になれますから。