文系・工学系の学際・融合教育を目指して

卒業後

23期生 野竹 章良:株式会社野村総合研究所 プロジェクトマネージャ

私は現在、金融機関向けにシステム開発を行うプロジェクトのプロジェクトマネージャとして働いている。プロジェクトマネージャとは、プロジェクトで達成するべきゴールに向けてプロジェクトを推進し、その実行責任を持つ人物のことを指している。私の場合は、国による経済政策や金融市場における制度改正に対応するようなシステム開発案件に携わっている。システム開発プロジェクトは何一つ同じ案件は存在せず、また多くのメンバーと協働して案件を推進する必要があり、日々発生する様々な問題・課題に適切かつ迅速に対処することが求められている。

私の働くITソリューション分野では日本国内だけでなく、中国やインド、ベトナムといった国々での開発などは当たり前のように行われており、プロジェクトが日本国内だけで完結することはほぼないと言ってよい。そういった環境下では、文化や生活習慣、前提知識などが一切異なるメンバーとも協働し、プロジェクトを遂行しなくてはならない。私がプロジェクトを推進する上で最も大切だと考えていることは、プロジェクトメンバーの様々な多様性や考え方を受け入れる寛容さや、違いを乗り越えた上でメンバーをまとめ、統率するリーダーシップである。

国際総合学類を卒業し7年が経とうとしているが、振り返ってみると、視野を広く持ち、多種多様な価値観やそれを受け入れることの大切さを学んだのは、国際総合学類で過ごした時間だったと感じている。

国際総合学類は、自由で選択の幅が広い一方で、学生は自らの選択に責任を持って真摯に向き合うことが求められる、そのような学びの場だったと感じている。国際総合学類で過ごした日々は、私にとって新しい挑戦にあふれ、刺激的で楽しいものだった。1年間の米国への交換留学中には、留学生同士でそれぞれの国の文化や宗教、歴史などについて、世界中からの留学生同士で意見交換を行い、議論を深める中で、改めて自分が日本人であることを強く感じ、これから日本でどう生きていくか、どう社会に貢献していくかを考えさせられた。ゼミでは、仲間と真剣に議論を行い、学びを深める中で、与えられた問題に取り込むより、自ら問題を発見・提起し、解決のために行動することの方がより困難で大切なことであることを学んだ。単に勉学に励んだだけではなく、様々な価値観を持つ人々に出会えたことで自分の視野を広げることができたと感じている。

私は、これからもプロジェクトメンバーと協働して、真摯に、時には泥臭くシステム開発プロジェクトに携わっていきたい。また、国内外を舞台にシステム開発プロジェクトを遂行するプロフェッショナルでありたいと考えている。そして今の私の根底には、国際総合学類で過ごした日々の中で学んだことが流れていると感じている。